腰掛タップダンス
脳の活性化に期待
タン、タタタン、タン......。いすに腰掛け、リズミカルにステップを踏む受講者の皆さん。「自分が楽器になったようです」。元気で楽しげな雰囲気が教室に満ちています。
「腰掛タップダンス」は、三洋電機元会長の井植敏(いうえさとし)さんが考案。関西のシニア層を中心に評判が広まり、関東でも次々と教室が開設されています。人気の理由は、足腰に不安がある人でも安心して運動できること。上半身も一緒に動かすので全身運動になること。また、音楽に合わせてステップを覚えたり、足と上半身が異なる動きをしたりすることで、脳の活性化も期待できると言われています。
「座っているので楽そうに思えますが、意外とハードですよ」と話すのは講師の花純風香さん。つま先で床を蹴るボール、かかとで音を出すヒール、足裏全体を使うスタンプ ー タップの基本ステップは、脚をよく動かします。受講者さんも「じんわりと汗をかく」「最初は筋肉痛もありました」と言います。
「脚を上げ下げする運動は、太ももだけでなく腹筋も使います。つま先とかかとを使い分けるタップ独特の動きは、硬くなりがちな足音を柔らかくしてくれます。階段で脚が上がらない方、小さな段差でもつまずいてしまうすり足歩きの方に、特に効果的だと思います」
華麗な振り付けも魅力
「マツケンサンバ」「ダンシングクイーン」など、アップテンポなリズムに合わせてステップを踏む皆さん。上半身の動きは、元タカラジェンヌ・花純講師ならではの華麗な振り付けです。
「内から外へと広がっていく手の振りかたが宝塚らしいかもしれませんね。ちょっと派手かな(笑)」。座っているので動きは限られますが、「飽きないようにできるだけいろいろな要素を入れています。今日は楽しかった、いい運動ができて気持ちよかった、と思っていただけるような時間にしたいです」。
つえを使って通って来られる80代の女性は、「皆さんと同じようにはいかないけれど、タップシューズを履いていすに座ると『さあ! やろう! 』という気持ちになります」と笑顔で語ります。「この年でダンスができるとは思わなかった。タップのステップを踏むと若返ります」と言う方も。音楽がかかると、まるで別人になったようにノリノリになる皆さんです。
※「腰掛タップダンス」は、株式会社MTBの登録商標です。
※「よみカル」2019春掲載 「腰掛タップダンス」花純風香講師
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