クラシックギター
やわらかい音色
ポロロン。クラシックギターの音が響きます。やさしく包み込むような、気持ちのいい音色です。クラシックギターはナイロン弦なので、スチール弦を使うフォークギターの金属的な音に比べてずっとやわらか。講師の石川裕一さんもこの音色に魅了されてクラシックギターの世界に飛び込んだと言います。
「10歳の時に入院し、手術の痛みもあって悶々(もんもん)としていたら、隣のベッドの人がクラシックギターを弾いてくれました。ポワンとすごくいい音が病室内に響いて、嫌なことが全部吹き飛んだのです。それ以来ギターから離れられなくなりました」
美しい音を出すためにはコツがあります。「柔らかな指の動きが大事」と石川さん。「爪弾(つまび)く」と書きますが、指先でしっかり圧力をかけて弦を弾くことで、弦の振幅が大きくなり、輪郭のはっきりとした豊かな音が出ます。
「その音の消えかけるところが、私は一番美しいと思っています。心に余裕を持って、ゆっくり大きく響かせてください」
楽しさに自然と笑顔も
講座は、「新しい体験をしたくてギターに挑戦しました」「ギターの経験は少しだけ。ボランティア仲間が集まった時に盛り上がれるよう、上達したくて」と言う初心者が中心。まず、複数の弦を使ってドレミを弾くことから始めて、ゆっくりと、でも着実にステップアップを目指していきます。
この日は、弦を押さえる左手のポジション移動のレッスン。「入門から初級への橋渡しとなるテクニックです」との説明に、石川さんの手の動きをじっと見て学ぶ皆さん。曲は、美空ひばりの「悲しい酒」です。青春時代に口ずさんだヒット曲を弾ける楽しさに、自然と笑顔も出てきます。
最初は、メロディーを弾けただけで「うれしい! 」と喜んでいた皆さんですが、レッスンを重ねて、ついにミュージックフェスタにも参加しました。
「テンポが速くなったり音をはずしたりしましたが、終わってみれば、頑張ったことも失敗したことも全部楽しさに変わったようです」と石川さんはほほ笑みます。
ミュージックフェスタの後、「まだまだもの足りない! 」と訴える皆さん。急きょ、石川さんが新たな発表会をセッティング。その本番に向けて、さらに練習に熱が入っている皆さんでした。 ※ミュージックフェスタ:よみうりカルチャーが主催する音楽・邦楽講座を受講する皆さんの発表会です。
※「よみカル」2018冬掲載 大宮センター「はじめてのギター教室」石川裕一講師
|