BOXOUT
骨から動かす
野口詩延さんの講座は、たっぷりと時間をかけたウォーミングアップから始まる。ジャブやストレートパンチを放つボクシングの動きは後半になってから。まずは、正しい姿勢をつくることに努める。
「自分が楽だと思っている姿勢でも、どこかに負担をかけていたり、バランスが悪かったりするものです。そうしたところから、肩こりや腰痛が起きてきます。自分の身体の癖に気付けたらもうけもの。修正することができますから」
一般的なエクササイズは、筋肉に着目して身体機能の強化や脂肪燃焼を目指すけれど、野口さんは「まず意識すべきは "骨" 」と断言する。骨盤から足へ、肋骨から腕や手へ、すべての動作は骨の動きの連携。その身体の基本的な動きをボクシングの動作を利用して学んでいく。骨格から身体を動かすことで、眠っていた筋肉に刺激を与え、自然に気持ち良い汗が出てくる。
効果は身体から心へ
レッスンを続けていくと、自身の変化に気付く。「動きが軽やかになった」「体重が減った」「お腹が引き締まってきた」と皆さん。効果は身体だけではない。「講座に通うようになって前向きな気持ちになった」と精神面へのプラスを多くの皆さんが口にする。
「心と身体は密接な関係にある」と野口さん。身体の歪(ゆが)みは体調不良だけでなく、ネガティブな思考を生んだり、元気をなくしたりする原因の一つ。「良い身体づくりは、心にもいい影響を与えることを伝えていきたいです」
心身一体のメソッド
80代の女性が講座見学に見えたことがある。夫の介護を15年続け、一人になったことを契機に変わろうとしていた。ずいぶん背中が曲がっていたけれど、野口さんは迎え入れた。「3年後にはすっとした姿に変わりました。生活もアクティブになりました。気持ちが身体を変え、身体が生活を変えたのです。年齢なんて単なる記号にすぎないんだと思いました」
『BOXOUT』は、ボクシングの動きをまねするエクササイズとは一線を画した、心身一体のメソッドだ。「講座で身体を整えることが、皆さんのハッピーな生活につながってくれればうれしいです。強い身体と健全な心を身につけられたら、きっと趣味のテニスやスキー、街歩き、歌も、もっともっと楽しくなると思いますよ」
※「よみカル」2017春掲載 「BOXOUT」野口詩延 講師
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