チョークアート
本物よりおいしそう
カフェやレストランの入り口や店内でよく見かける、メニューを描いた黒板。手書きの文字にも味があっておしゃれです。この黒板をキャンバスにして描く絵画が、「チョークアート」です。発祥はオーストラリア。飲食店のディスプレーとしてスタートしただけあって、遠くからでもぱっと目に飛び込んでくる発色の良さが特徴です。
絵のモチーフの定番は、ドーナツやハンバーガー、ドリンクなどのカフェメニュー。「本物よりもおいしそうに見えるかしら」と講師の湯浅真輝さん。なるほど、描かれたメニューはみずみずしくインパクトがあります。
「理由の一つは、手書きの力強さです。印刷や写真よりも人の目を引き付けます。もう一つの理由が、色遣いです」
一般的な絵画は、陰になる部分に暗い色を使います。一方、チョークアートは陰にも鮮やかな色を選びます。例えばオレンジを描く時、光の当たった明るい面は黄色で、陰になる部分はビビッドな橙色(だいだいいろ)や赤紫。茶色など濁った色を使わないことで、生き生きとしたオレンジになると言います。
「鮮やかでポップ、それがチョークアートの魅力です」
指でくるくる混ぜる
画材は、学校で使うスクールチョークではなく、オイルパステルです。柔らかな素材の特性を生かして、塗ったあとに指でのばしたり色をまぜたりすることができます。チョークアートの重要なテクニックです。
まず輪郭を描き、明暗を分けて3色ほど面塗りします。
「隣り合う2色の境目を混ぜ合わせるのがコツです」
指でくるくるとなでるように塗って色を混ぜていく受講者さん。「指を筆のように使うのが楽しい」「タッチの違いが作品に表れ、決して同じ絵にならないので面白い」と語ります。画材も描き方もシンプル。ラフに描いても緻密さを追求しても絵になり、初心者にも挑戦しやすい懐の深いアートです。
最後に好きな書体で文字を入れます。チョークアートに欠かせない要素です。カフェの看板のような、おしゃれな作品の完成です。 オーストラリアに渡ってチョークアートを学んだ湯浅さん。「テクニックはもちろんですが、絵を描くことの楽しさを教えてもらいました。だから、皆さんにも "今日のレッスンは楽しかった" という記憶を持って帰っていただきたいと思っています」
1回2時間の講座で完成できる作品づくり。「もっといろんなものを描いてみたい。夢が広がります」と受講者さんは笑顔で語ります。
※「よみカル」2019夏号掲載 大森センター「はじめてのチョークアート」湯浅真輝講師
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