[講座リポート]タブレット純が聞く加藤登紀子の世界-百万本のバラ物語-(荻窪センター)

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 公開講座「タブレット純が聞く加藤登紀子の世界-百万本のバラ物語-」が10月25日、荻窪センターで開かれました。

 冒頭、加藤さんの代表曲のひとつ「百万本のバラ」を歌いながら赤いドレスのタブレット純さんが入場、大きな拍手で迎えられました。歌い終わると今度は加藤さんが入場、ひと際大きな拍手が沸きました。

 加藤さんは「百万本のバラ」の貧しい画家のモデルになったニコ・ピロスマニの母国ジョージア(グルジア)でのコンサートから戻ったばかり。ラトビアで子守歌として生まれ、ロシア語のラブソングに翻訳されソ連で大ヒットした「百万本のバラ」が、ロシアとウクライナの戦争の狭間で両国では歌えなくなった現実に対して、「この歌をあなたたちは捨てるんですか」とコンサート会場で訴えたことを話しました。反戦運動に尽力してきた加藤さんの矜持が垣間見れました。

 後半のテーマは家族や自らの半生について。加藤さんは、父親がレコード会社に勤務していた関係で、藤島桓夫(歌手)や藤田まことらと知り合い、のちに加藤さんが新人歌手として「てなもんや三度笠」に出演した時に「加藤さんのお嬢さん」とあいさつされたことを話しました。

 レコードで加藤さんの若い歌声を聴きながら「赤い風船」「積木の箱」「つめたくすてて」「ひとり寝の子守唄」などの歌について語りました。「ギターを弾こう」では、加藤さんがまだギターがうまく弾けずに、作曲した小林亜星さんが2つのコードでイントロを用意してくれたので無事舞台に上がれた秘話を披露しました。

 聞き手に回ったタブレット純さんは、ウクレレを弾きながら加藤さんの歌を口ずさみ、加藤さんが藤島武夫や永六輔、森繁久彌ら懐かしい人たちとの思い出を語ると、すかさず物まねしてみせて聴衆を喜ばせました。

 また、純さんは加藤さんとの出会いについて、文化放送のロビーで花柄のセーターを着ていると、加藤さんが「ベストアルバムのタイトルが『花物語』なの」と声をかけ、そのアルバムをくれたのがきっかけだった、と振り返りました。

 純さんが「『小さな花びらのもの入れ』という曲が好き」と言うと、「レコードのB面でステージでも歌ったこともないのに」と加藤さんが驚いて一気に親しくなったと話しました。

 今年も加藤さんの「ほろ酔いコンサート」にゲスト出演する純さんとあって二人の掛け合いの呼吸はぴったりで、あっという間に予定時間の90分が過ぎました。

 終了後は、お二人のサイン会も開かれ、加藤さんの著書「百万本のバラ物語」やレコードを持参した参加者たちの長い列ができていました。