[インタビュー]桝 太一さん

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ます たいち 同志社大学ハリス理化学研究所専任研究所員(助教)。東京大学大学院農学生命科学研究科を修了後、日本テレビに入社。「真相報道バンキシャ!」の総合司会などで活躍。昨年、同社退社。

 昨年、サイエンス・コミュニケーションの研究者に転身した元日本テレビアナウンサーの桝太一さん(41)は国立科学博物館の特別展「海―生命のみなもと―」(7月15日~10月9日)の公式ナビゲーターを務める。夏休みを前に生き物好きだった子供時代の思い出を語ってもらった。


■千葉での小学生時代は

 生き物とテレビゲームが大好き。周囲に田んぼや畑があり、下校中に蜂の巣を見つけたり、コオロギと遊んだりしました。庭に水をまこうとしたら、ホースの中にミズカマキリが入っていたことがあります。虫にはまったきっかけはファーブル昆虫記。ハンミョウの幼虫が大冒険する話が好きで、「虫の一生ってすごい」と。人間の想像外でファンタジーの世界。好きなゲームも同じで、それが僕の好奇心の原点かもしれない。


■東京の中高一貫校に進学すると生物部に

 生物部なのに体育会系(笑)。中1で10㌔走もあった。夏休み合宿で約30㌔の荷物を背負い、2、3000㍍級の高山に登って、初めてその理由がわかった。登って疲れてちゃ観察ができない。捕虫網でチョウを追いかけて、テントで8泊。「1週間風呂に入らなくても死なないんだ」と。この経験はのちの研究やメディアの世界で生きましたね。

 高2で部長だった時の合宿が思い出深い。実績の無い初めての山に行くことにした。安全も大事だし、生き物いるかわからないからものすごく苦労した。いなけりゃ、部員たちが騒ぎ出しますからね。チョウは、別にエサでおびき寄せるのではなく、いきあたりばったりでのハンティングです。人がいないところに分け入って、そこで見つけた瞬間の、血が逆流する感じはたまらない。ゲームでものすごいレアなアイテムをドロップした瞬間のグアーッっていう感じを自然界でやっていた。生物というお宝を探す「トレジャーハンター」的な気持ちでやっていた。


■子供たちに夏休みの過ごし方のアドバイスを

 今は動画で何でも手軽に見ることができるけど、映像は切り取られた情報です。だから、夏休みには動画で興味を持ったものを自分の目で確認する機会にしてほしい。その差は圧倒的なんです。

 あと小中高時代に、一貫して好きだったモノをつくれると一生の武器になる、これは自信を持って言える。好きなことを伸ばすことに専念して欲しい。役に立つとか立たないとかあんまり考えない方がいい。これは親御さんにも言いたい。きっと人生が豊かになります。

(2023年5月11日)

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