[講座リポート]高島屋和菓子バイヤーが紹介するおすすめ和菓子(上生菓子作り体験付き)

はじめに500-281.jpg 2023年2月22日、横浜センターで公開講座「高島屋和菓子バイヤーが紹介する和菓子の魅力」を開催しました。今期(2023年1月期)は、大手町の新聞教室、錦糸町センター、北千住センターでも開催し、全ての会場で異なる和菓子を用意していただくため、"はしご受講" される人もいる人気の講座です。そして、横浜センターで開催した講座は、和菓子店の若旦那3人が指導する和菓子作り体験が付いた特別な内容でした。

 講師は、高島屋の和菓子バイヤー畑主税さんです。和菓子作りを指導したのは、滋賀・高島の「とも栄」4代目西沢勝仁さん、福井・小浜の「伊勢屋」6代目上田浩人さん、大阪・天王寺の「本まつばや」4代目松下壮太郎さんです。

 和菓子は「日本の伝統的な菓子」と説明されることが多いですが、畑さんは、「和菓子は日本的な素材だけでなく、いろんな素材と組み合わせられる可能性をもっている、さらに言えば、いろんな素材と融合して新しいお菓子が生まれる可能性が和菓子にはある」と話しました。

 地域性や季節感、表現力、歴史、歳時記、職人技に目を向けると和菓子がより魅力的に感じられます。特に今日は、異なる地域からお越しいただいた職人さんたちのそれぞれの表現力、技をぜひ間近で見て、感じて欲しいと畑さんは言いました。

 今日の講座では冬から春へ季節が移ろうこの時期に合わせて生姜のお菓子とひな祭りの菓子8種類を紹介しました。畑さんが職人さんから聞いてきた作り方、誕生秘話、道具、新しい挑戦などを身振り手振りで説明しながら、一つひとつの和菓子を紹介。受講者の皆さんは説明を聞きながら、試食用に配られた和菓子をじっと見ていました。

 北陸・金沢の鯛や桃を形どった金花糖の大きなひな菓子飾りの話では、3、40㎏ほどあろうかという木型をぐるんぐるん回して作るんですと畑さんは体を大きく動かして説明しました。その動作に会場から思わず驚きの笑い声が上がりました。しかし、この動きがあってこそ、きれいな色の鯛が出来上がるんですと説明されると、受講者の皆さんは改めて職人さんの技のすごさを感じたようでした。そして、地元の方は、飾った金花糖のひな菓子を料理に使っているという情報も。

みほん500-348.jpg 続いて、和菓子作り体験では、3種類の上生菓子に挑戦しました。西沢さんからは「左近の桜」、松下さんからは「水温む」、上田さんからは「貝合せ」を教えていただきました。

写真=見本の和菓子。(上)「左近の桜」、(左下)「水温む」、(右下)「貝合せ」

「とも栄」西沢さん300-350.png「本まつばや」松下さん300-350.png「伊勢屋」上田さん.png

 練り切りの餡は手にくっつきやすいので、濡れぶきんでこまめに手をふきながら作業します。まずは職人さんが説明しながら手本を見せます。包餡(餡を包む)の手さばきは実に鮮やかで感心させられます。

 西沢さんは左手でずっと餡を回していました。「指のあとがつかないようにするためで、最初の修業で手の動きを練習します」と教えてくれました。松下さんは、「光が透けるくらい」と餡の伸ばし具合を分かりやすく説明します。道具はドン・キホーテで売っているプラスチック製のスプーン。そのスプーンを使って美しい水紋を表現しました。上田さんは「3つ目になると、餡をもむのも慣れてきましたね」とほめ上手です。使った道具はプラスチック製のくし。ハマグリ貝の線状のすじや割れ目が見事に表現されてました。

 和菓子作りを体験した受講者さんは「難しい......。でも楽しい!」「(和菓子の)表情がぼてぼてになってしまって...」と、苦戦しながらも出来上がった和菓子を大事そうに見つめていました。

 西沢さんは「いろんな形があっていいんです」、松下さんは「シンプルな色味とあまり触らない表現を体験してほしいと思いました。見た目はシンプルですが、桜の花びらを表現した餡は桜風味ですよ」。余った餡は食べてもいいですよと言われた受講者さんは、ぱくっと口に入れた後、満面の笑みを浮かべました。

体験500-332.jpg 最後に畑さんは、「上生菓子は、皆さんが自由に名を付けていただいていいと思います。またそれが楽しみでもあります」と話しました。

写真=和菓子作り体験の様子