[講座リポート]琵琶と楽しむ『平家物語』の世界
2022年2月11日(金)、読売新聞東京本社3階「新聞教室」で、公開講座「琵琶と楽しむ『平家物語』の世界」を開催しました。
今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも注目の源氏と平家。平家物語は、鎌倉時代に成立したとされる平家の栄枯盛衰の物語です。学校の教科書で習った方も多いのではないでしょうか。今回は聚の会主宰で琵琶奏者の田原順子さんに解説を、聚の会のナカムラユウコさんに琵琶の演奏と語りをしていただき、平家物語の世界に浸りました。
「祇園精舎の鐘の声......」平家物語の冒頭の語りと琵琶の演奏で講座は始まりました。
「まずは琵琶の紹介を」と田原さん。今回演奏される琵琶は「筑前琵琶」です。琵琶は奈良と平安時代の境目、およそ1200年ほど前に日本に入ってきた外来の楽器です。
はじめは、雅楽琵琶(楽琵琶)として入ってきたと思われます。そして盲僧琵琶、盲目の僧侶が仏教の言葉を伝える時に使われ、やがて鎌倉時代に平家物語を伝える平家琵琶が広まりました。それから薩摩琵琶、筑前琵琶が生まれ、田原さんは筑前琵琶の新しい流派に所属します。「一番新しくて、一番古い曲を弾いています」と田原さん。琵琶を見せながら形状、材質の説明もしてくださいました。今回演奏に使用された琵琶は五弦五柱の筑前琵琶です。弦を一つずつ鳴らし、音の違いも教えてくださいました。
続いて、ナカムラユウコさんの演奏と語りで、「祇王」「熊谷と敦盛」「那須与一」「壇ノ浦秘曲」を抜粋で紹介してくださいました。
「那須与一」は、「私どもが習った曲の中で、原文をそのまま語るのはこの曲だけです」と田原さん。それぞれの曲の解説を聞いた後に聞く、琵琶の演奏と語りは、より染み入りました。
平家物語は鎌倉時代に成立し、今もなお多くのファンがいます。琵琶も1200年、形が変わり、演奏される曲も変わり、これからも変化しながら演奏され続ける楽器だと思いますと田原さん。
「日本に一番最初に渡ってきた外来の楽器です。一番長く弾かれる楽器であると思います。ぜひ皆さん、琵琶を聞いてください。そしてできれば、琵琶を弾いてください。私たちも弾き続けます」と結びました。
田原順子さんの講座
■よみうりカルチャ―恵比寿(アトレ恵比寿7階)
琵琶をひいてみよう(個人)
■よみうりカルチャ―横浜(横浜新都市ビル(そごう)9階)
琵琶をひいてみよう