[おうちで学びたいこと探そう]日本ワイン ―和食に合う繊細なワイン―

情報誌「よみカル」から、特集した講座記事を紹介します。

ほかの講座の特集記事はこちら

日本ワイン200-141.pngワイン01.jpg


日本ワイン

平賀さんが日本のワインに興味を持ったきっかけは?

 10年ほど前、レストランのチームソムリエを務めていた時のことです。ワインリストを作るためにいくつかのワインを試していました。その中に、島根県のワイナリーが作ったシャルドネが入っていたんです。それを飲んだ時「日本のワインもここまで来た!」とセンセーショナルな印象を受けました。海外ワインと比べても遜色(そんしょく)はない。店で出せると思った最初の日本ワインでした。



メディアや飲食店でも日本ワインをよく目にするようになりました

 「おいしくなった」ことが一番の理由でしょう。かつては、輸入ワインをブレンドしたり、甘味料を加えたり、生食用ブドウの規格外品を転用して醸造することが当たり前でした。しかし、1980年代から原料のブドウから見直そうという機運が高まります。醸造環境も改善されました。そして、2002年に山梨県で「第1回国産ワインコンクール」が開催されました。このコンクールが、日本のワインのレベルを上げる大きな契機になったのです。以後10数年で日本のワインは飛躍的においしくなりました。



おいしくなった理由は?

 醸造技術はもちろんですが、「良いワインは、良いブドウから」と言われるように、原料となるブドウがとても重要です。ただ、日本ではちょうど収穫の頃に台風が来ます。風で落ちたり、雨で裂果したりしかねないため、農家としては早めに収穫したい。それでも辛抱してワインづくりに適したブドウを作ってくれる農家が出てきました。そんな農家の理解と醸造家の努力によって、私たちはおいしいワインを味わえるようになったのです。



日本のワインの特徴は?

 気候条件の差でブドウの味は変わります。例えば、夏に雨が少ないカリフォルニアで育てると、「フルーツボム」と呼ばれるほど果実味が強くなります。一方、雨が多い日本ではみずみずしい感じになります。それでつくったワインも、パンチのある欧米のワインに比べて、日本のワインは優しい感じに仕上がる傾向があります。
 その特徴は日本の食卓に合ってると私は思います。水分が多く繊細な和食には、そうしたワインが合うのです。最近ではヨーロッパでも素材の持ち味を生かした料理が人気ですから、日本のワインの評価も上がるかもしれませんね。



ワインの楽しみ方を教えてください

 ワインはハードルが高いと思っている人が多いと思います。外国産が多いことやマニアックな評価のせいかもしれません。でも、日本ワインに目を向けると、ちょっと足を延ばせばワイナリーに行けます。例えば、山梨県には70以上のワイナリーがあり、秋にはそれらを巡るツアーも開催されています。そうしたイベントを利用して、生産者の話を聞きながら、自分が素直においしいと思うワインを見つけてみる。それが、ワインを楽しむ切り口の一つになると思います。それと大切なのは、一緒に飲んで楽しい人と飲むこと。「これはおいしいね」と語り合えることは大切な要素です。 

 日本ワインは、もっとおいしくなっていくでしょう。もう一段ステージが上がろうとする、面白い時期にあると思います。そんな今だからこそ、日本ワインを楽しんでほしいですね。

※「よみカル」2015冬掲載 「日本ワイン」の平賀祐一講師



平賀祐一講師の講座の紹介
※講座名をクリックすると講座詳細にリンクします

■よみうりカルチャー川崎(044-221-5590)アトレ川崎5階
日本のワインを楽しむ」第4水曜 19:00~20:30



日本ワイン1000-706.png



ほかの講座の特集記事はこちら