[おうちで学びたいこと探そう]古布バッグ ―昔と今、人と人をつなぐ―
情報誌「よみカル」から、特集した講座記事を紹介します。
古布バッグ
新しい命を吹き込む
「古い布に触れていると、大切にしてきた人たちの思いが伝わってきます」と、講師のさかくらのりこさん。
古くなった着物は丁寧にほどかれて羽織や子どもの着物に仕立て直された。着れなくなれば布団地やオムツに。ぼろぼろになったら雑巾にして、最後は焚(た)き付けになった。小さい布を何枚も縫い合わせて1枚の生地として使うこともあった。
「骨董市などで買ってきた着物をほどいていると、そうした昔の人の暮らしを知ることができます。帯芯に使われていた古い紬に目を奪われたり、ほどいた糸を継いで縫った着物があったり。戦火や震災を乗り越え、何人もの手を経て私のもとにたどり着いた布に、いとおしささえ感じます。もう着ないからとしまっておくのはもったいない。新しい命を吹き込んで街に出してあげたいと思うのです」
さかくらさんがよく使うのは、明治から昭和の初めにかけて織られた布。細い糸で精緻に織られているもの、今でも通用するようなモダンな柄、ハッとするような発色の布・・・・質の良いものが多いという。そうしたお宝ものの古布がバッグに生まれ変わる。
三方良し
「おばあちゃんの帯で作りたい」「この布が大好きだから」とお気に入りの布を持ってくる受講者も。
「どうしたらその布が一番きれいに見えるだろうかと考えます。配色はもちろんですが、例えば唐獅子に唐草、蝶とバラ、扇子と鼓といった組み合わせなど、物語を織り込むようにしています」
どのようなシーンで使うバッグなのか、プレゼントならどんな人にあげるのか。シチュエーションをイメージしながらアドバイスしていく。そうやって作った世界で一つのバッグは、コミュニケーションツールだと言う。
「そのバッグを持っているだけで声をかけられます。『すてきなバッグね』『祖母の帯で作ったんですよ』『あなたの手作り?上手だわ』と、会話が生まれます。古布のリメイクは、昔と今をつなぐだけでなく、人と人をつなぐのです」
だから、古布バッグは「三方良し」と、さかくらさん。
「作って良し、持って良し、買って良し。教室で仲間と楽しく作れ、持っていると人に褒められてうれしい。素材を手に入れる面白さもあります。古布のバッグづくりは、ぜいたくでおしゃれな趣味なんですよ」
※「よみカル」2015冬掲載 「古布バッグ」のさかくらのりこ講師
さかくらのりこ講師の講座の紹介
※講座名をクリックすると講座詳細にリンクします
■よみうりカルチャー荻窪(03-3392-8891)ルミネ荻窪9階
「古布ハンドメイドバッグ」第1・3金曜 10:15~12:30
■よみうりカルチャー自由が丘(03-33723-7100)自由が丘駅 魚菜ビル3階
「月1回・古布でつくるハンドメイドバッグ」第2火曜 10:00~12:30