講座コード:202510-18010412 2025年7月31日 更新

公開

江戸川乱歩から松本清張へ

明智小五郎の変容

立教大学教授石川 巧

 江戸川乱歩が登場した大正後期は、欧米における心理学、精神分析学、変態性慾などが日本に移入された時代であり、犯罪科学は人間の闇を解き明かすための理論として機能していた。だが、彼はむしろ科学では解き明かせない人間の闇に魅了された。一方、戦後に登場した松本清張は乱歩が描く世界を「見世物小屋」と評し探偵小説を推理小説へと反転させた。見えないものを可視化する発掘の思想で事件を描き、刑事たちの地道な捜査で事件を解決した。逆にいえば、清張の登場によって明智小五郎のような名探偵は活躍の場を失うことになった。本講座では、明智小五郎というキャラクターに注目して乱歩から清張への転回を考察する。

【江戸川乱歩 プロフィル】
江戸川乱歩(本名・平井太郎)1894年~1965年。三重県名張町(現・名張市)に生まれる。早稲田大学政治経済学科を卒業後、仕事を転々としながら探偵小説研究に没頭。1922年、森下雨村が編集長の『新青年』に「二銭銅貨」を発表。その後、「D坂の殺人事件」「人間椅子」「陰獣」「押絵と旅する男」などを次々と発表し怪奇小説、探偵小説の作家として絶大な人気を博す。戦時中は軍部の圧力ですべての作品が全文削除処分となり思うような執筆活動ができなかった。戦後は、日本探偵作家クラブ会長を長く務め、江戸川乱歩賞の設立、雑誌『宝石』の責任編集などで探偵小説界の発展に尽力した。
【石川巧 プロフィル】
1963年、秋田県生まれ。山口大学、九州大学を経て2006年より現職。専門は日本近代文学・文化研究。特に戦中・戦後の雑誌研究を進めている。近著に『読む戯曲の読み方 久保田万太郎の台詞・ト書き・間』(慶應義塾大学出版会)『幻の雑誌が語る戦争』(青土社)、『高度経済成長期の文学』(ひつじ書房)、『群衆論』(琥珀書房)など。
日時 11/22 土曜日
 13:00~14:30

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受講料 会員  1回 3,520円(うち消費税額320円)
一般  1回 4,070円(うち消費税額370円)
維持費 385円
初回持参品 筆記用具

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