語学講師に聞く≪語学勉強法≫中国語 徐 迎新さん 

 

読売文化センターの講師になるまで、ずっと日中交流の仕事に携わっていました。中国にいた時、大学の夜間部で中国人に日本語を教えた経験もあります。その経験を生かした、日中・国際交流の延長線にもなるような仕事が何かと考えると、日本人に中国語を教えることしかないと思いました。

ちょうど13年ほど前の1998年ごろに、日本では、初めての中国語ブームが起こりました。今まで日本語の勉強でお世話になった日本人の方々へのご恩返しにと思って、この道に入ったわけです。

それ以来、教本を作り、教鞭を取り、中国語教育に取り組む道を無我夢中に走ってきました。お陰さまで、老若男女問わず、多くの生徒に恵まれ、クラスも初級から上級まで及んでいます。最初、中国語を一言もしゃべれなかった人もたくさんいましたが、数年間の勉強を通して結構喋れるようになりました。

このような熱心な生徒さんと付き合っていると、私としては、皆さんに教えている先生というよりも、皆さんにたくさんのことを教わっている生徒であるような錯覚さえ起こります。

今、日本ではたくさんの人が中国語を勉強されています。building.bmp

中国語とは何かと問いただすと、すぐに答えられない人も多くいるかもしれません   

まず、今、皆さんが勉強している中国語とは、中国で9割以上の人口を占めている漢民族の言葉であることをまず知っていただきたいです。漢民族でも、北方方言、福建方言、広東方言などといった多くの方言があります。この多くの中国語の中の1つ、北京語の発音を基本とした「標準語」が「普通語」です。以下は「中国語」とします。

この中国語を勉強する際、まず感じられるのは、中国語の音の高さです。日本語にも「雨」と「飴」のようにアクセントが違う発音もありますが、中国語の発音には4つの声調があります。例えば一声の場合、日本語の「雨」のアの発音よりずっと高いトーンで発音しないと中国語らしい発音ができません。この声調を身につけるには、音楽、歌を歌うようなつもりで始めると、上達の早道になるかもしれません。

日本人が外国語を勉強するとき、あまり口を開けないとよく言われるようです。中国語を勉強する時は、口を大きく開けて発音することがなおさら重要です。口を大きく開けないと、日本語よりずっと多い中国語の母音の発音がうまくできなくなります。勉強を始めた最初の段階から、口を大きく開けるよう、心がけてほしいと思います。

一般的には、やはり中国語には漢字があるから、親しみを感じて始められた人が多いと思います。実際、漢字をたくさん使っていることが、勉強しやすいところの1つでもあります。

多くの人は多かれ少なかれ英語を勉強しています。中国語は英語と同じものだと教わったことがあるかもしれません。確かに文の構造として、日本語は S(主語)+O(目的語)+V(述語動詞)の構造で、中国語は基本的な文構造は英語と同じで、S+V+Oです。しかし、文を細分化しますと、例えば、名詞を修飾する連体修飾語や述語動詞などを修飾する連用修飾語などは、日本語とほとんど同じ語順です。

 

もう1つ、英語では普通、主語が欠かせないものです。日本語の場合、会話などでは主語がないのがむしろ普通です。中国語は日本語と英語の中間的な存在で、どちらかと言えば日本語寄りのように思います。

外国語の勉強法は多分共通するところがあります。上述しているように、中国語を勉強する時は、まず口を大きく開けて発音するように心がけます。それから、やはり多く聞き、多く話し、多く読み、多く書き、そして多く翻訳してみることです。

 

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日本語には長音と短音がありますが、中国人にはなかなかその区別が分かりません。一回、まだ留学時代の話です。どんなきっかけだったか忘れましたが、事務室の職員から「今日中に行ってください」と言われました。私はそれを「教授に言ってください」と聞き間違えて、「どの教授ですか」と聞き返した覚えがあります。

私は日本語の外来語が苦手です。いまでも「ペットボトル」が時々言えず、「ペダル」と言ったりしています。「IT」は大体「エイティー」と言って、子供に直されたりしています。

自分の名前の読み方は、英語ならそのまま言えばいいわけです。例えば「田中」さんの場合、ローマ字でTanakaと書いて、そのまま読めば何とか通じます。しかし、この「田中」をローマ字読みのままだと、中国人には通じません。

それぞれの漢字には全部中国語の発音があります。例えばこの場合、ピンイン(中国語ローマ字)表記のTian2 zhong1(ティェン ジュオン。この2とか1は声調を表します)となります。

若い人は中国語の発音で話したり、聞いたりすることは非常にスリルさえ感じるようです。それに対して、少し年配の方々にとっては、例えば、皆さんがよくご存じの「有朋自遠方来、不亦楽乎(朋あり、遠方より来たる、また楽しからずや)」という格言を中国語で読んでみる、あるいは読めるようになると、それはどれほど高尚な文化的享受に感じられることでしょう。これまでの私の教育経験の中でも結構多くの人からそういう感想を聞いたことがあります。

 

世界が多元化しつつある現代、一衣帯水の日本と中国。これから旅行、留学、仕事などでお互いに行き来する機会が多くなると思います。それがうまく行くために少しでも心の扉になる語学ができたらいいなと思う方は、是非私の教室に来てください。私と一緒に、古代より伝わり、今でも生きている、幾千年の歴史のある漢字の言語、中国語を楽しみましょう。皆さんの中国語の勉強に力になりたいです。日本と中国の懸け橋になりたいです。

 

☆☆徐 迎新さんの担当しているセンターはこちらです☆☆

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