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[講座リポート]古地図と浮世絵でめぐる東京
9月26日、岡本永義さんの「古地図と浮世絵でめぐる東京」講座に同行させていただきました。岡本さんは街歩きに関する著作を持ち、しばしばテレビ番組にも出演する[街歩きの達人]です。
四谷と四ツ谷 どっちが正しい?
この日は地下鉄丸ノ内線「四谷三丁目」駅改札口集合。ちなみにお隣の駅は「四ツ谷」。JR線と丸ノ内線などの乗換駅ですが、駅の表記は丸ノ内線も「四ツ谷」駅となっています。そんな疑問を感じながら、四谷三丁目駅を目指しました。
集合時間の10時30分になると12人の皆さんが集まりました。一人ひとりに岡本さんお手製の資料が配られます。お手製の資料は、今日歩く行程のポイントを江戸時代の古地図と現代地図を並べて、わかりやすく整理されています。
さて、冒頭の疑問。改札口を出た後、地上に出てしばらくすると岡本さんが皆さんに解説してくれました。「江戸時代までは[ッ]が入ることが多く、明治以降に[ッ]が入らない[四谷]が多くなった」とのこと。住所の表記は[四谷]で統一されているそうですが、「混同されていて、今でもごちゃごちゃ」と岡本さんは笑顔を見せました。続いて四谷の地名の由来。岡本さんによると2つの説があるそうです。一つ目は、江戸時代にこのあたりに4軒の農家があったからとの説。二つ目は界わいに四つの谷があったから。
四谷は馬糞だらけの街だった!?
とてもテンポがいい岡本さんの解説。途中でかばんからさっと何かを取り出しました。「これは歌川広重の浮世絵。馬のおしりと馬糞が描かれています」と岡本さん。
明治36年の書物によると「四ツ谷が発展してたくさんの客が来るようになった。そしてとにかく馬糞が多い」と書かれているそう。岡本さんの解説が続きます。「四ツ谷と呼ばれていた地域に新しい宿場(内藤新宿)ができて、当時は[四ツ谷の新宿]と呼ばれたが、今では[新宿区の四ツ谷]。逆転していて、これもおもしろいところですね」。
サラリーマンから街歩きの専門会社を起業
岡本さんは自らが経営する「歩き旅応援舎」や、よみうりカルチャーなどの講座で多くの人をガイドしています。その数は年間でおよそのべ2000人ほどになるといい、ほぼ毎日、どこかで・だれかと街歩きをされる生活を送っています。
「街歩きは、仕事を退職後の時間やお金がある人の趣味」といった一般のイメージを変えたいとの思いから、岡本さんは街歩きの専門会社「歩き旅応援舎」を立ち上げられたといいます。「実は、法学部出身で、その関係の会社のサラリーマンをしていました」と岡本さん。街歩きが一般の人にもより身近なものになるようにと、一念発起して、好きだった街歩きを生涯の仕事に選んだといいます。
「切り口や視点を変えて街を見ることで、新しい発見があるものです」と岡本さん。「街を歩いて得た情報は、皆さんの仕事や、これからの人生に役立つものがたくさんあるはず」と強調します。
よみカルの講座では毎回半年のコースごとにテーマを定めていますが、今回は「東京の崖」で、10月からは「銀座線」。古地図と浮世絵を片手に東京探訪が続きます。
「今の町の経緯を知り、将来に伝えていくことが、より良い未来の町をつくることにつながる」。その信念を胸に、岡本さんは今日も東京のどこかを歩いています。
(2023年9月26日)
講座名:古地図と浮世絵でめぐる東京
講座日:第4火曜 10:00~13:00
募集センター
・よみうりカルチャー北千住(講座詳細へ移動)
・よみうりカルチャー錦糸町(講座詳細へ移動)
・よみうりカルチャー川口(講座詳細へ移動)