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[講座リポート]経絡ストレッチ
経絡(けいらく)とは、「ツボ」と「ツボ」を結び、「気」を内臓(五臓六腑)や皮膚、筋肉に働きかける通り道のことです。東洋医学では、人間は、生命活動を営む根源的なエネルギーともいえる「気」で構成され、この気の流れが滞ると、身体の不調や病気なると考えられています。この気の流れをよくすることが健康を保つ秘けつ。内臓などに気を働きかけるポイントがツボです。
「経絡ストレッチ」講座は、音楽に合わせ、多彩なストレッチ運動などを通じて、経絡をほぐしていきます。エアロビクスほどの激しい運動ではありませんが、全身を使った運動を繰り返すので10分もするとけっこう汗をかきます。体を柔らかくするというより、東洋医学が目指す「気の流れを調整」ということをイメージすることを大事にしています。
実際どんな運動なのか興味津々で、8月22日(火)に、荻窪センターの体操教室で開かれる講座を訪ねました。講師は、けいらくビクス協会(※注)認定インストラクターの相澤ふづきさんです。
相澤さんは、受講者とあいさつを交わした後で、まずゆったりとしたテンポの音楽をかけました。動きに合わせて声をかけ、吸ったりはいたりという呼吸を連動させて、心と体をリラックスさせていきます。
東洋医学では陰陽五行説(すべてのものを5つに分類する)に基づき、季節を5つ(「春」「夏」「晩夏」「秋」「冬」)に分けて病気の理解、治療をしますが、この日は、晩夏(大暑=7月23日から秋分の日=9月23日まで)に当たります。暑い夏の疲れがでて、脾臓(ひぞう)と胃が悲鳴をあげる時期です。脾臓は、消化と血の循環にかかわります。これが不調をきたすと、消化・吸収が悪く、疲れやすくなります。冷たい飲み物をとりすぎて、水をうまく動かせなくなるので足のむくみも起こります。まさに夏バテの症状と重なります。
受講者らは、ボールを足の間にはさんだり、手にもったりしながら、肩回り、胸、脇、腰、足などをほぐしていきます。胃の経絡は、目の下から、体の前面を通って足の人差し指まで。身体の上から下へ流れます。
逆に脾臓の経絡は、足の親指から足の内側、体の前面を通り胸の脇まで、下から上へと流れます。胃と脾臓の経絡周辺の筋肉などを緩める多彩なストレッチを次々に行っていきました。
15分ぐらい続けた後、水を飲む休憩。額に汗が微かに光っています。
休憩後は、少しアップテンポな音楽。動きもより複雑で、大きくなります。でも受講者の皆さんは、遅れることなく、ついていきます。
ボールを片手に持ち、腕を体に巻き付けるように左右に振りながら、足を曲げる難しい運動について、相澤さん、「はい、でんでん太鼓」「レッグカール」と掛け声。受講者は軽快にきれいにこなしていました。
さすがに、少し疲れが見えた受講者に、相澤さんは「皆さん、目が死んでいます。ニコニコしましょう。口角を上げて」と声をかけると、心なしか受講者の表情も明るくなって、楽しそう。
2度目の休憩の後は、床に敷いたマットの上で、ゆったりとしたリラクゼーションの時間。疲れた心身の浄化をして、自律神経を整えていきます。最後は、部屋を暗くして、深呼吸しながら体と心を落ち着かせて講座は終了。
2年間受講している女性は「先生の言うことを、日常生活の中でも実行しています。体幹が強くなって病気しなくなった」と語ります。
受講者の中には関節が痛む、めまいがするなど不調を訴える人もいますが、相澤さんは、「不調は軽減しているようです」という。
相澤さんは、「エアロビクスのような派手さはないが、長く続けてくれる人が多い。運動が苦手な人にもできる運動。体力がない人は体力がつきます」と経絡ストレッチのメリットを指摘します。
受講者同士も健康状態を確認し合うなど、コミュニケーションもとれ、和やかな講座と思いました。
※注けいらくビクスとは
東洋医学と西洋医学の概念を融合したオーストラリアの手法(「Chi-BallTM」メソッド)をもとに、エアロビクスの動きを採り入れた運動。埼玉在住の村井玉枝さんが考案し、けいらくビクス協会を2010年に設立。インストラクター養成などを通じ、普及に当たっています。
(2023年8月22日取材)
■よみうりカルチャー荻窪(荻窪駅ビル「ルミネ」6階)
経絡ストレッチ
第2・4火曜日 11:30~12:45