[講座リポート]ココ・シャネルが愛した仕事と映画

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 2021年10月31日(日)、恵比寿センターで公開講座「ココ・シャネルが愛した仕事と映画」を開催しました。

 講師に映画プロデューサーの髙野てるみさんをお迎えし、すてきな事務所のサロンからオンラインで講演していただきました。講座は、コロナ禍のため、会場参加の人数を絞り、またオンライン受講でも会場で質問しているような環境になるようにと、オンライン参加の人数も限定しました。講師と、恵比寿センターでパブリックビューイングでご受講の方とオンラインでご受講の方をZoomミーティングでつなぎ、くつろいだ雰囲気の中で講師と受講者の皆さんに会話を楽しんでいただきながら講座を行いました。


 今年は、ココ・シャネル没後50年、そしてココ・シャネルが開発した香水「No.5」誕生100年という年。ココ・シャネルは、世界中が危機に陥っていた時(第一次世界大戦とスペイン風邪)に頭角を現しました。そして、今は新型コロナウィルスで世界中が大変な時。彼女の何とも言えない不思議な時の巡り合わせに思いをはせながら、講座はスタートしました。

 髙野さんは、ココ・シャネルが今もsustainable(持続可能)な存在であることを、例に挙げながら、話しました。没後50年となった今年の夏には、ドキュメンタリー映画「ココ・シャネル 時代と闘った女」が公開されました。髙野さんが言葉集を刊行するきっかけになったのも、「ココ・シャネル」(2008年製作)、「ココ・アヴァン・シャネル」(2009年製作)、「シャネル&ストラヴィンスキー」(2009年製作)が公開されたからだそうです。

 髙野さんは、多数のココ・シャネルの伝記などを調べていくうちに、彼女の生き方が今の時代、仕事や人生のヒントになるのではと、彼女の生きた証としての言葉を次々と掘り起し、ココ・シャネルの言葉集を出してきました。そのスタイルも、「右ページにココ・シャネルの言葉、左ページに解説という体裁になっています。ぱっと開いて、その日の言葉との出会いも楽しんで」と話します。(本の紹介はページ最後にあります)

 講座では、ココ・シャネルの生い立ちをたどりながら、彼女の言葉を紹介してくださいました。髙野さんは、「ココ・シャネルは、ファッションから女性の生き方を解放した第一人者」と話します。ココ・シャネルがファッション界に登場した第一次世界大戦の時、ジャージー生地を使って動きやすい服を作りました。女性がコルセットでウエストを細くし、長いスカートでしゃなりしゃなりと歩く姿を打ち消しました。ショルダーバッグの発明やフェイクジュエリーを積極的に取り入れたのもココ・シャネルでした。ココ・シャネルの「本物より私の作ったアクセサリーは美しい」という言葉とその背景にあるココ・シャネルの思いにも触れ、受講者の皆さんはうなずきながら真剣に聞いていました。

 また、髙野さんは、ココ・シャネルが、ファッション・デザインという仕事だけでなく、映画にも大きな情熱を注いだことを明かしてくださいました。今はフランスの巨匠である映画監督の、若かかりし頃の映画作品へ、衣装協力をはじめとする支援をしたことなど、それまで、ココ・シャネルのあまり耳にしたことのない話に、皆さんも興味深げでした。

 講座では、髙野さんからクイズも出題され、受講者の皆さんも首をかしげながら、これが答えかな? と手を挙げて答えてくださいました。

 最後に髙野さんはココ・シャネルの「偉大なる好奇心」のお話をされて講座が終わりました。「ココ・シャネルの魅力的な言葉はたくさんあります。講座をきっかけに、ココ・シャネルの言葉に興味を持ってもらえたらうれしい」とお話しされました。


髙野てるみさんの著書

「仕事と人生がもっと輝く ココ・シャネルの言葉」(イースト・プレス)

「ココ・シャネル 女を磨く言葉」(PHP文庫)

「職業としてのシネマ」(集英社新書)

イースト・プレス_仕事と人生がもっと輝くココ・シャネルの言葉・書影400-587.jpg PHP文庫_ココ・シャネル女を磨く言葉新帯書影350-502.jpg 集英社新書_『職業としてのシネマ』書影.350-502jpg.jpg