“身の回りの科学”を中心に、さまざまなサイエンスの本が出ています。毎回一冊の書籍をテーマに、著者を迎えて、直接お話を聞き、質問できる講座です。案内役は、日本科学技術ジャーナリスト会議元会長の小出重幸さん。

尾身茂　「新型コロナ1100日間の葛藤」「きしむ政治と科学」
　2022年初頭から始まったCOVID-19パンデミックは、日本の政府、社会に大きな混乱をもたらせました。その中で、データや信頼できる根拠に基づいて、地道に発信を続け、混乱の収拾への道筋を引いた「専門家会議」は初めて “科学顧問”とはなにか、その役割を私たちに知らせたのです。
　福島第一原発事故や、狂牛病（BSE）、薬害エイズなど、専門家の発言は、都合の良いところだけ切り取られて政府に使われるなど、「科学的助言」をどう行政決定に反映させるか、日本にはその仕組みもありませんでした。今回のパンデミックを経て、ようやく科学者・専門家の役割に、多くの注目が集まるようになりました。その中心で、3年間にわたってまとめ役を果たしてきた、尾身茂さんに、著作に込めた思いをうかがい、科学と政治、社会をつなぐコミュニケーションを、ご一緒に考えたいと思います。